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中原雄一( 15/07/01 Wed 0:45 更新)

足の「あおり」

1) 着踵(かかとの接地)から離踵(かかとの離地)

なにより、まずは実際の動きを見ていただいたほうがいいでしょうね。 ここでは右足の動きを見ていくことにしましょう。

大きく前に振り出された右足は、かかとの「やや外側」から着地していきます。この状態は、両足が地面についた状態、つまり「二重支持期」ですね。

 

胴体の前進にともなって、足の裏全体が着地していきますが、このとき、体重は足の裏の小指側に揺れていきます。このとき、右ひざは完全に曲がっておらず、上手に膝のクッションを利用していることがわかります。

 

左足が地面から離れ、右足一本で体重を支えた状態になっています。つまり右足が「立脚期」で、左足が「遊脚期」にあることを示しています。

 

足の裏全体が地面についた状態のときは、体重は足の小指側によって支えられます。

 

右足の踵が離れると、体重の支えは小指側から、親指の付け根の部分、つまり「拇指球(ぼしきゅう)」へ移っていきます。この後、最終段階で蹴りだすまで、体重の大部分を「拇指球」で支えることになります。

 

2) 足の「あおり」

以上の動きは前からみると分かりやすいでしょう。今度は前に出た左足に着目してみます(公園で撮影したんで、ごみ箱なんかが映ってしまっています。ごめんなさい)。

着地寸前の左足は「前脛骨筋(ぜんけいこつきん)」という脛の前側の筋肉を使って、爪先を高く持ち上げます。この筋肉はヒトの成長のピークを迎えたあと、年齢が進むにつれて弱化してしまいます。そのため、歩くときに爪先が十分に上がらなくなり、つまずきやすくなってしまうのです。意識的なウォーキングで十分に強化しておくことが望ましいといえるでしょう。

さて、この写真をよく見てみると、かかとの「やや外側」から着地しようとしているのがわかると思います。爪先もやや外側を向いていますね。

 

足のうら全体が着地しているときには、体重がやや足の外側に揺れているのがわかると思います。このときは足の親指側には体重があまりかかっていない感じが見て取れますね。

着地前にはやや外側を向いていた爪先は、ここではほぼ正面を向いています。というか、足の「内側」のラインが正面に向かってまっすぐに向かう、という感じですね。

 

次の写真ではやや体重が親指側にもかかりつつあることを示しています。実際に蹴りだす段階では、体重のほとんどは親指側、つまり拇指球で支持されます。

 

このように、着地(着踵)から、離地までの間に、私たちの足の裏は「かかとの外側」→「足の小指側」→「親指のつけ根(拇指球)」→「親指(拇指)」という形で体重を支えていくことがわかりました。この一連の動きは、いわゆる足の「あおり」動作と呼ばれます。

私たちの足の裏には横のアーチ、縦のアーチが存在し、足にかかる衝撃(ショック)を吸収したり、効率のよい動きのための「バネ」として働いてくれます。足の「あおり」もこれらのアーチをうまく生かした動作であるといえます。

下の図の「内側縦足弓(ないそくじゅうそくきゅう)」「外側縦足弓(がいそくじゅうそくきゅう)」が縦のアーチになります。足の小指側のアーチは、足の親指側のアーチより低くなっていますね。

また、「横足弓(おうそくきゅう)」は、足の内側から外側にわたって存在するアーチになります。

 

足のアーチは疲労とともに、その張りが小さくなっていくので、ウォーキングシューズは、アーチがサポートされたシューズを選択するのが望ましいでしょう。これについては、「服装・器具」で述べることにしますね。

もともと、私たちが「歩き」始めたときには、実にさまざまな関節を動員してなんとか「前に進もう」としていたはずです。そのうち、歩きに関する無駄な動きが省略されていき、歩きに必要と思われる関節や筋肉が必要なだけ動くように、今の歩き方が形成されてきていると考えられます。

そのうち、民族的な生活スタイルや習慣の違い、もしくは個人的な価値観の違いなどで、実際には一人一人がまったく違った歩きかたをしているものです。「ウォーキング」とひとくくりにされる種目であっても、運動としては別物だったりするんですね。

足の「あおり」という面では、かかとの外側から着地し、小指側に体重が乗るところまではよいものの、その後十分に拇指球に体重を移せずに、小指側から抜いていく人も多くなっていますね。実際私自身もそんな感じがありました。

この機会に、歩くときに、効率的な「足のあおり」を意識してみましょう。効率的な足の動き、股関節周辺の関節の動き、筋肉の動きなどが身につくことにより、下半身ひいては全身の関節の健康を保つことができるでしょう。

 

3) 股関節の動きと「あおり」の関係

このコーナーのまとめとして、股関節の動きと「あおり」の関係をみていきましょう。

遊脚が前に振り出されるときは、股関節がわずかに「外旋」していきます。外旋というのは、股関節から先の脚全体が外側に「旋回する」動作のことです。逆に、立脚の側は、後方にいくにつれてわずかに「内旋」していきます。内旋は外旋とは逆の動き、つまり股関節から先の脚全体が内側にひねられる運動になります。

この動きにより、遊脚が前に振り出されたとき、爪先がわずかに外側を向き気味になりますから、踵の外側から着地をしやすくなるわけですね。

 

これに対して立脚は、後ろに進むにつれ、脚全体が内旋します。それにより踵が上がり始めると、足の内側、つまり親指の側に力を入れやすくなっていきます。

単なる「歩き」の動作も、実に複雑なメカニズムが絡んでいるんですね。

 

4) 足の裏にかかる力

足が接地している間に、足の裏にかかる衝撃は、踵が着地する瞬間が最も大きく、その次に、爪先で蹴るときの力が大きくなります。歩くスピードが速くなるほど、後者の力のかかり方が大きくなっていきます。

左の山が、踵が着地して一番衝撃が強くなったときの山ですね。右の小さな山が、爪先が地面を蹴りだすときの力です。

次のコーナーでは、これらの動きと骨盤の動きをリンクして解説したいと思います。

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